秘密兵器は双眼鏡…スカウト界の「キツネとタヌキの化かし合い」は今も健在

公開日: 更新日:

 そうやって周りの評価を下げるだけ下げ、ドラフトの対象から外しておいて、下位で指名するんだ。彼らがその後プロで活躍したケースはごまんとあるよ。チャラそうだったり、ブ男はオレの得意分野だったね。

 逆に煮え湯を飲まされたことも数知れない。ニセの情報を根拠に獲得に走り回って失敗したこともあるし、スカウトが絶賛していた選手をわざわざ練習場まで視察に行って無駄足を踏んだこともある。ウソをついたヤツが後日、ニヤニヤしながら「どうでしたか?」って話しかけてきた時は怒りよりも情けなさが先立ったね。

 近頃はキーボードを叩けば選手のデータがたくさん出てくる。以前ほどオレたちの目や耳への依存度は少なくなってきたものの、それでも情報操作は欠かせない。

 最近だと、マスコミを利用することが多いかな。試合後に「あの選手はどうでしたか?」って聞いてくる記者に対して、悪いことはまず言わない。プロの器じゃないと思っていても、それらしいことを言っておくのさ。どこかの若いスカウトがうのみにしてくれたら儲けものだ。

 今大会では横浜(神奈川)の左腕・金井慎之介が打者か投手か、評価が分かれている。情報戦はもう始まっているんだ。

 オレたちスカウトの多くは単年契約。不安定な世界で生き抜くために、使える手は何でも使うのさ。(つづく)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手