早くも31本塁打の大谷に「2年前のトラウマ」…本塁打王の足枷になりそうな球宴とチームの失速

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大谷の興味は「カネより勝てるか」

 大谷にとって足かせになる可能性があるのは球宴に限らない。気掛かりなのは最近のエンゼルスのチーム状態だ。大谷の最大のモチベーションは記録より何より、プレーオフに出て世界一を狙うこと。「ヒリヒリした9月を過ごしたい」のだ。今季、投打とも例年以上に好調なのは、メジャー6年目にして初めてプレーオフ進出が期待できるからだ。

「大谷は5月下旬から6月上旬にかけて、疲労から打率が2割6分台まで下がった。この間、チームも2勝7敗と、負けが先行。一時は危機的状況でした。そこから大谷が復活したのはチームが上昇気流に乗り、プレーオフ圏内にとどまったからです。9月にヒリヒリできるかもしれないという状況が、3月のWBCからフル回転し続ける大谷の何よりの励みになっている」(前出の特派員)

 ところが、最近の12試合は4勝8敗。西地区首位のレンジャーズとは6ゲーム差。プレーオフに進めるワイルドカード争いでも、進出圏内のアストロズとヤンキースに2ゲーム差をつけられ、下降線をたどっている(数字はいずれも同3日現在)。

 チーム状態が芳しくないうえに、今後の対戦カードも厳しい。球宴直前はドジャース2連戦、球宴明けはアストロズ3連戦、ヤンキース3連戦と、いずれもプレーオフ進出圏内の球団との対戦が続く。

 大谷は6月に15本塁打、29打点、打率.394と爆発。ここ7試合で6本塁打と、86試合で31本塁打はシーズン58.4発ペースになる。しかし、チーム状態がさらに落ち込んだとしても、コンスタントに本塁打を量産できるか。

 大谷の同僚でMVP3度のトラウトは、オフにFAとなる大谷の去就について「おカネの問題ではないと思う。最終的にはチームが勝てるかどうか、(大谷が)戦いを楽しめるかどうか。チームが勝てれば、引き留めの大きなアピールになるだろう」と話している。

 大谷にとってチームの勝利が何よりのモチベーションになることを理解しているからこその発言で、エンゼルスがプレーオフ争いから脱落すれば「残留」の可能性だけでなく「本塁打王」のタイトルも消えてしまうかもしれない。

 その大谷は、日本時間4日のパドレス戦に「3番・DH」で出場。この日はバットから快音が響かず、3打数無安打1三振、2四球だった。チームは先発バリアが5回を5安打4失点で降板。3人のリリーフ陣も6点を失い、3-10と大敗した。

■週間、月間MVP同時受賞

 米大リーグ機構(MLB)は日本時間4日、6月の月間MVPを発表し、大谷がア・リーグ野手部門で選出された。6月の大谷は打者として全27試合に先発出場し、いずれもリーグトップの打率.394(104打数41安打)、15本塁打、29打点。自己最高の月間成績をマークした。

 大谷の受賞は2021年6月と7月に2カ月連続で選ばれて以来、2年ぶり3度目。日本選手では野茂英雄、伊良部秀輝の2度を抜いて最多受賞となった。

 この日は週間MVPも発表され、大谷はヤンキースの右腕ドミンゴ・ヘルマン(30)とともに選出された。6月第2週に続いて今季2度目となり、通算6度目の受賞はイチローを抜いて、こちらも単独トップとなった。

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