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春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

米トランプ大統領は「NO!」だが…トランスジェンダー選手の参加に世界陸連コー会長の実戦的対応

公開日: 更新日:

【第3回】トランスジェンダー問題

 2月5日にトランプ米大統領が、トランスジェンダー選手の女子競技参加を禁止する大統領令に署名した。女子競技に参加するため米国への入国を求めるトランスジェンダー選手の査証審査厳格化も国土安全保障省に指示し、国際オリンピック委員会(IOC)に当該選手の参加禁止に向けた「変更を要求」するよう国務省に指示したという。2028年ロサンゼルスオリンピックも標的にしている。

 トランスジェンダーの選手の女子競技参加については、IOC会長候補者の一人ラパルティアンがマニフェストで語るように、「人権を尊重する必要性と公正な競争を確保する義務とのバランスをとるべき複雑な問題」である。

 IOCが選手や人権専門家と議論を重ね科学的研究を続けている現況で、米国大統領がIOC会長選挙を前に矢を放った格好である。

 トランスジェンダーの女性選手に関する参加資格規定についてIOCは、各競技を統括する国際競技連盟(IF)に委ね、各種のテーマ研究に資金提供している。それぞれの競技特性によってテストステロン数値抑制条件も違ってくるためだ。トランスジェンダー女性が一概に競技上の優位性を持つとは言えない研究結果もあり、トランスジェンダーの女性アスリートが自ら選んだ競技で自らを高める努力をIOCは否定できない。五輪憲章では「いかなる種類の差別も受けることなくスポーツをすることへのアクセスが保証されなければならない」としており、開催国はIOCが資格認定した選手役員の入国を無条件に認めなければならない。トランプ政権がトランスジェンダー選手の入国を拒否すれば、五輪憲章違反となり五輪開催は危うくなる。

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