長嶋茂雄さんは僕のお門違いも甚だしい“直談判”にも耳を傾けてくれた「お前の言い分は分かったが…」

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 PL学園からドラフト1位で指名されて30番をもらった。当初は「江川だ、江川だ」とファームでヤジられた。30番といえば橋本。ファンに早くそう言ってもらいたい一心で頑張ってきたのだ。

 その愛着ある30番の剥奪をマスコミ報道で知った。球団から事前に断りがあってもいいじゃないか。寂しさが、すぐに、怒りに変わった。

 球団フロントの人間に説明を求めようとしても「オレもよく分からないんだ」と逃げの一手。ボクの予想以上の怒りに驚いたのか、フロントは責任をなすり付け合うだけでラチがあかない。

 強硬手段に出た。長嶋監督に直接、聞くしかない。田園調布の自宅に電話をかけてしまった。

「橋本です。ボクの背番号が替わるそうですね」「えっ、オレは知らないな。そうなのか?」

 突然の電話に電話口の向こうの長嶋監督が驚いている様子が伝わってきた。畳み掛ける。

「替えないでください。お願いします。1年、背番号変更は待ってください。来年、ダメだったら、クビにしてもらっても構いませんから」

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