教え子の今岡真訪が蹴った“倍額提示”…「お金じゃありません」と阪神入りを選んだ

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 ただし、勝負強い。今岡が4年生になった春のリーグ戦で、国士舘大と入れ替え戦を戦った。いきなりリードを許した初戦の試合中だった。ベンチ全体に重たい空気が充満している。ナインをもり立てるべき今岡も元気がない。そこで本人を呼んで、「勝ち負けはいい。けれどもキャプテンのおまえがシュンとしてどうするんだ!」「打って景気をつけてみろ!」と叱り飛ばした。

 すると、本当に本塁打を打った。初戦は敗れたものの、今岡の一発で流れが変わった。2戦目に巻き返すと、3戦目は無安打無得点のオマケ付きで大勝。今岡は初戦から3試合連続本塁打を放った。アトランタ五輪準決勝の米国戦でも、2ランを放って銀メダル獲得に貢献した。

 96年のドラフト1位で阪神に入団。この年のドラフトは自由競争で、中には阪神の倍の金額を出すと言ってきた球団もあったとはいえ、今岡は「お金じゃありません。両親も自分も関西出身。当初からの希望通り、お世話になります」と阪神入りを選んだ。

▼たかはし・あきお 1948年6月8日生まれ。大宮工(埼玉)、東洋大、日産自動車を経て、72年、23歳で東洋大野球部監督に就任。今年、監督42年目を迎えた。東都リーグ通算509勝は歴代1位。全日本選手権4回、明治神宮大会2回優勝。プロに進んだ教え子は30人を超える。2022年9月7日、敗血症により死去。74歳だった。

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 当連載「大人気連載プレイバック」は火・水・木曜公開。当記事ページ下部の関連記事から、他の回顧録も要チェックだ。

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