清原和博さんの「思わぬ一言」で鼻の奥がジーン、泣きそうに。チーム内では“番長”とは別人だった
その清原とは忘れられない思い出がある。ある試合で二塁ベース寄りに飛んだ打球を仁志が逆シングルで好捕。振り向きざまに投げた一塁への送球がショートバウンドになり、懸命に腕を伸ばした清原のファーストミットをすり抜けて内野安打になった。どちらも目いっぱいのプレーで、どちらにも非はない。その翌日のことだった。
「試合前の練習中、外野でストレッチをしていたボクに清原さんが近づいてきた。そしておもむろに『きのうはホンマ悪かったな。次は絶対に捕るからな』と言われたんです。瞬間的に鼻の奥がツンとして、涙が出そうになった。誰が悪いというプレーではない。どっちかといえば、ショートバウンドを投げたボクの方が悪い。でも、キヨさんはボクのプレーをファインプレーにしてやれなかった、と思ってくれたんでしょう。4歳も下のボクにキヨさんの方から頭を下げてくれた。長いこと野球をやってきて、そういうことで『スマンかった』なんて言われたことはなかったから。ジーンときた」
清原にはコワモテのイメージが先行した。「番長」などと言われ、傍若無人な振る舞いが強調された。実際にそれも清原の一面だが、チーム内では別人だった。