清原和博さんの「思わぬ一言」で鼻の奥がジーン、泣きそうに。チーム内では“番長”とは別人だった
「春のキャンプ直前、球団のイベントで初めて顔を合わせて、抱いていたイメージが吹っ飛んだ。みんな『どういう人なのかな』『おっかないのかな』と構えていたところがあったけど、清原さんの方から挨拶にきていただいて、『よろしくな』と右手を差し出してくれた。その笑顔からは、後に言われる『番長』とか『兄貴』といったコワモテのイメージはまったくなくて、『お兄ちゃん』という感じ。一発で魅力に引かれました」
その清原とは忘れられない思い出がある。ある試合で二塁ベース寄りに飛んだ打球を仁志が逆シングルで好捕。振り向きざまに投げた一塁への送球がショートバウンドになり、懸命に腕を伸ばした清原のファーストミットをすり抜けて内野安打になった。どちらも目いっぱいのプレーで、どちらにも非はない。その翌日のことだった。
「試合前の練習中、外野でストレッチをしていたボクに清原さんが近づいてきた。そしておもむろに『きのうはホンマ悪かったな。次は絶対に捕るからな』と言われたんです。瞬間的に鼻の奥がツンとして、涙が出そうになった。誰が悪いというプレーではない。どっちかといえば、ショートバウンドを投げたボクの方が悪い。でも、キヨさんはボクのプレーをファインプレーにしてやれなかった、と思ってくれたんでしょう。4歳も下のボクにキヨさんの方から頭を下げてくれた。長いこと野球をやってきて、そういうことで『スマンかった』なんて言われたことはなかったから。ジーンときた」