中村敬斗〈後編〉「ブラジル戦の同点弾を娘とスタンドで見ながら胸が熱くなった」(三菱養和サッカースクール・生方修司)
「この試合に全てを賭けます」
──それが実り、第2次森保ジャパン初陣だった2023年3月のウルグアイ戦でようやく日本代表デビューを果たしました。
「『おめでとう、ついに来たね』と伝えましたが、そこから敬斗は1年間で4ゴールと立て続けに点を取って地位をつかんだ。シュート力と決定力が彼の強みなんです。そこから継続的に呼ばれ、2025年10月のブラジル戦でも値千金の同点弾を叩き出した。敬斗に招待してもらって娘と2人で味スタのメインスタンドでその瞬間を見ていましたけど、彼は心から大舞台を楽しんでいた。『サッカーを楽しむ』という養和のポリシーを実践してくれていて、胸が熱くなりました」
──3月のイングランド戦の活躍も圧巻でした。
「試合前にも連絡を取りましたが、『この試合に全てを賭けます』と返ってきた。自分はフランス2部にいる分、ひとつひとつの代表戦で活躍しないと2026年北中米W杯の代表メンバーに選ばれないという危機感が強かったんだと思います。その決意がプレーに出た。敬斗と佐野海舟(マインツ)という同い年の2人が、別次元の存在感を示したことも本当に嬉しかった。『うまい選手』から『戦えてハードワークできる選手』に変貌したなと痛感します」
──中村・佐野海舟両選手はJクラブ出身ではありません。
「そうなんです。Jクラブにいるエリートでなかった分、自分の力で何とかしなければいけないという自覚を持ってサッカーをしてきたんでしょう。敬斗は本当に謙虚で自分に厳しい。リスペクトできる選手です」
──養和からは中村の4学年上の相馬、ひとつ下の望月ヘンリー(ともに町田)もいて、彼らも代表候補です。
「2022年カタールW杯に滑り込んだのを見ても分かる通り、勇紀は運を持っている男です。左右両足で蹴れますし、FKで点を取れる多彩さもあるので、森保監督も最後に入れたいと思う選手だと思います。ヘンリーは日本人離れした身体能力を備えた選手ですが、もともと優しくてすぐに泣く子だった。1つ上の敬斗とはユース時代に一緒にやったことがなかったので、2024年夏にスタッド・ランスが来日して町田と対戦した際、初めてマッチアップできて、本人も感慨深かったでしょう。養和としては、ぜひ3人に揃ってW杯に行ってほしいですね。クラブは昨年50周年を迎え、僕も指導して36年が経ちましたけど『心を育てること』には注力してきました。3人とも、非常に優れた人間性を備えた選手たちです。彼らが大舞台に立つ日が来ることを心から願っています」
(聞き手=元川悦子/サッカージャーナリスト、絹見誠司/日刊ゲンダイ)
▽なかむら・けいと 2000年7月28日生まれ、26歳。千葉・我孫子市出身。小5までJ柏のジュニアにプレー。中学から三菱養和SCに所属。18年にJ・G大阪入り。19年7月にオランダ1部トゥエンテに移籍。ベルギー1部シントトロイデン、オーストリア1部リンツを経て23年8月、フランス1部スタッド・ランス(現2部)に完全移籍。代表僚友FW伊東純也と共闘した。同年に日本代表初招集。24年1月のベトナム戦で53年ぶりの「代表デビューから国際Aマッチ出場6試合6得点」を記録した。
▽うぶかた・しゅうじ 1986年10月13日生まれ、57歳。神奈川・横浜市出身。岩崎中学1年からサッカーを始めて国士舘高ー国士舘大。卒業後に三菱養和会に社員として入社。巣鴨スポーツセンターに勤務してユース監督などを歴任しながらFW永井雄一郎(浦和やカールスルーエなど)FW田中順也(柏やスポルティングなど)、J町田所属の日本代表FW相馬勇紀、同DF望月ヘンリー海輝らを育てた。



















