「インフェルノ(上・下)」ダン・ブラウン著、越前敏弥訳
■美女との手に汗握る逃避行
「ダ・ヴィンチ・コード」でお馴染みの宗教象徴学者ラングドン・シリーズの第4弾。物語は頭に傷を負ったラングドンがフィレンツェの病院のベッドで目覚める場面から始まる。
2日前にはハーバードにいたのに、なぜこの地にいるのか。記憶が全くない。混乱する中、突然銃を持った女が現れた。辛くも命拾いしたラングドンは、女医シエナ・ブルックスの助けを借りて病院を抜け出す。ラングドンの上着の隠しポケットにはバイオハザードの危険を示すマークが付く容器があり、中にはボッティチェリがダンテの「神曲」に出てくる地獄を描いた「地獄の見取り図」があった。どうやら「神曲」が謎の鍵を握っているようだ。謎を解くべく、ラングドンとシエナはフィレンツェ、ベネチア、イスタンブールへと導かれていく。
美女との手に汗握る逃避行、スリルあふれるタイムリミット・アクション、美術・文学の蘊蓄(うんちく)、観光地の詳細な紹介等、ブラウン作品には定番の要素を盛り込みながら、人口爆発の悪夢的な解決法という重い問題に挑んだ、シリーズ最新作。