「グリンプス」ルイス・シャイナー著、小川隆訳
■ステレオ修理屋の不思議な力
1988年、ステレオの修理業を営むレイは、作業をしながらビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」の録音風景を思い浮かべていた。あのとき、メンバーの関係がぎくしゃくしていなければもっと違うサウンドになっていたに違いないと考えていると、突然、スピーカーからレイが考えた通りのビートルズの演奏が流れてきた。自分の不思議な力を確信したレイは曲を録音してレコード会社を営むグレアムに持ち込む。グレアムと組むことになったレイは、ドアーズの「セレブレーション・オブ・ザ・リザード」など、伝説のバンドの幻のアルバムを次々と生み出していく。ロックファンの夢を実現した長編ファンタジー。
(筑摩書房 1400円)