「秘密保護法は何をねらうか」清水雅彦、臺宏士、半田滋著

公開日: 更新日:

■憲法学者と新聞記者らで問題点を平易に指摘

 秘密保護法は防衛、外交、特定有害活動(スパイなど)の防止、テロの防止――の4分野の中で、公になっていないもののうち国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるために特に秘匿が必要なものを「特定秘密」と指定するもの。

 指定者は閣僚ら行政機関の長。指定期間は1回につき最長5年だが再指定可能で、合計30年を超えるときに初めて内閣の承認を得なければならない。ただし承認が得られればさらに秘密指定が続き、「永久秘」とすることも可能だ。

 福島県議会は昨年10月、法案への慎重な対応を求める意見書を全会一致で可決した。たとえば原発事故による汚染情報が、核施設に対するテロの防止という観点から特定秘密に指定される可能性がある、というのだ。実にもっともな心配だが、これに対する政府の見解は日によって言うことがコロコロ変わるお粗末なもの。要は閣議決定の直前になっても具体的なことは何も決まってなかったのだ。

 憲法学者と新聞記者らによる本書は1970年代にまでさかのぼって秘密保護に向けた法制化の過程を振り返り、具体的な問題点をわかりやすく明らかにしてくれる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

  2. 2
    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

  3. 3
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

  1. 6
    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7
    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

  3. 8
    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

  4. 9
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  5. 10
    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮

    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮