「プロ野球 名人たちの証言」二宮清純氏

公開日: 更新日:

野球に関わる科学的データやマニュアルが確立していない時代に、試行錯誤を繰り返しながらオンリーワンの技術や戦法を確立した名人たちには、揺るぎない自信とそれを裏付けるだけの凄まじい努力がありました。昭和プロ野球選手には、物事を追求し続ける“匠の精神”が息づいていた。その熱を、読者にお伝えすることができればうれしいです」
 現役時代、“練習のムシ”として知られた高橋慶彦は、「練習は質よりも量」と言い切る。もともと右バッターだった高橋が、スイッチヒッターに転向したのはプロ入り後のこと。野球少年だった時代から数えると、左バッターとしての空白は10年もあった。

「“だったら、その10年分のスイングを1年でまとめてやればいいじゃないか”と高橋氏は言うんです。この方法に科学的根拠があるかは分からないし、すべての選手に適した練習法とはいえないかもしれません。しかし、高橋氏はその後、通算1826安打、477盗塁を記録した。目標を定め、やると覚悟を決めたら最後までやり切る強さが、名人たちの共通点といえますね」(講談社 850円)

◇にのみや・せいじゅん 1960年愛媛県生まれ。フリーランスのスポーツジャーナリストとして国内外で幅広い取材活動を展開。野球関連の著作として「最強のプロ野球論」「プロ野球の一流たち」などがある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ