台湾が舞台の長編小説「流」を上梓 東山彰良氏に聞く

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 台湾では共産党と国民党の血なまぐさい抗争の末、憎悪が連鎖した。だが、人々の心はどこにあったのか。それが今作の骨格でもあるようだ。

「実際に中国大陸で僕の家族を助け出してくれた爺さんの話を聞くと、政治的な大義名分、イデオロギー的なことではないんです。食えない時代に食わせてくれた人につく。たとえ敵方でも兄弟分であれば逃がす。下っ端の人間はそういう感覚だったようです。諦めというか達観もあったんじゃないかと思うのです」

 舞台は台湾、日本、そして中国へ。流転の末、祖父の死の真相にたどり着いた秋生。彼の心の在りかに刮目したい。(講談社 1600円+税)

▽ひがしやま・あきら 1968年、台湾生まれ。第1回「このミステリーがすごい!」で大賞銀賞・読者賞を受賞した「逃亡作法TURD ON THE RUN」でデビュー。2009年、「路傍」で大藪春彦賞受賞。「ファミリー・レストラン」「ライフ・ゴーズ・オン」「ブラックライダー」など著書多数。


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