「科学の危機」金森修著

公開日: 更新日:

 私的利権など意に介さず、ひたすら真理追究に努力し、国家や宗教、権力に決然と立ち向かう孤高の自由人こそが科学者である――。

 そうした「科学の古典的規範」は19世紀、実証主義思想を確立したオーギュスト・コントや、科学と国家の関係などを論じたエルネスト・ルナンらの科学観によって完成した。

 しかし、戦時下の原爆の研究など、20世紀に入ると、科学研究と国家の関係などが早くも変質してくる。

 本書は古典的規範から逸脱しそうになる科学を批判的な視点から指摘してきた唐木順三、宇井純、高木仁三郎らの功績などを紹介しながら、「科学の科学性」を維持するためにどうすべきかを論じる。(集英社 760円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒