「吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝」南條竹則著

公開日: 更新日:

 食事の前に感謝の祈りを捧げる猫の家族など日常の生活から、自動車の登場で職を探さなければならなくなった馬車の御者や、婦人参政権を獲得するための運動の様子など世相を描いた作品、中には猫が着物を着たジャポニズム風の作品まであり、その作品はユーモアに満ちながらも「風刺であるとともに記録であり、ノスタルジーをかき立てる」。

 しかし、妹の死をきっかけに精神を病んだウェインは、分裂症(統合失調症)と診断され病院に入院。入院中も絵筆を握り続けたウェインの描く猫は、病気の進行と共に奇怪に、サイケデリックに変化する。その頃の作品は「万華鏡猫」などと呼ばれ、精神病理学の教科書にも掲載されているという。

 生涯を猫の絵に捧げた彼の作品は、決して古びることなく、100年後の今も、愛猫家の心をくすぐる魅力に満ちている。

(集英社 1200円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関復帰10勝での「休場」に現実味…天敵・大の里に初勝利も素直に喜べない理由

  2. 2

    暫定措置は7月で終了へ…「資格確認書」「マイナ保険証」迫るタイムリミットの対処法

  3. 3

    目黒蓮不在のSnow Man、ラウールが"次期エース"へ台頭か「めめラウ」が与え合う影響

  4. 4

    北陸新幹線の延伸ルート「桂川案」に決定でも難航必至…問題解決の奇策「フリーゲージトレイン」の可能性を考えてみた

  5. 5

    阿部慎之助氏の巨人監督復帰が絶望的なワケ…親会社が断固として許さない暴力行為の重み

  1. 6

    安青錦が丸ごと吐露…相撲との出会い、日本語習得、「腹違いの兄貴」

  2. 7

    ウルトラセブンで主演の森次晃嗣さん「ずっと“モロボシ・ダン”と見られるのが嫌だった…」

  3. 8

    佐々木朗希また抹消…中6日も守れない“ひ弱な怪物”をそれでも全30球団が欲しがったワケ

  4. 9

    「24時間テレビ」放送1カ月前に日テレ局内に流れる微妙な空気…猛暑の中の星野真里マラソンに大逆風

  5. 10

    「働いて×5」では?…支持率急落の高市首相「睡眠不足」「家事多忙」SNSでアピールのトンチンカン