「復刻アサヒグラフ 昭和二十年 日本の一番長い年」朝日新聞出版編

公開日: 更新日:

 3月初旬号の表紙は「基地に待機、作戦を練る特攻隊員」の写真が飾るが、よく見ると戦闘機や隊員の影がばらばらで、さも人員も兵器も十分あるように合成しているのがよくわかる。「現金で持ってゐては この決戦に間に合はぬ!」と定額貯金を呼びかける郵便局など、記事の合間に掲載された広告も戦時色一色だ。

 やがて戦況が悪化するとともに誌面にも特攻色が強くなり、「神酒を受け、沖縄の決戦場へ出撃する特攻隊員」(4月25日号)など、死地に赴く若き兵士たちの勇ましい姿の写真が多くなる。そうしたなかに一枚、恐怖と絶望で表情なく操縦席に座る少年兵の写真が印象的だ。検閲をすりぬけた編集者たちのせめてもの抵抗かと思える。

 以後、東京大空襲、沖縄戦、原爆投下、玉音放送、マッカーサー進駐、そして占領下で復興に動きだした人々の姿まで、日本と日本人が決して忘れてはならない一年の記録である。検閲下の誌面に並べられた美辞麗句が、皮肉にも戦争の愚かさを際立たせている。(朝日新聞出版 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    嶋基宏は一時期ノイローゼ状態になっていた...心ここにあらずで、魂が抜けた状態に

  4. 4

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  5. 5

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  1. 6

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  2. 7

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 8

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 9

    居酒屋倒産が過去最多ペース 客離れの背景にある「飲み放題5000円」の壁

  5. 10

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に