「ヒーローたちの戦いは報われたか」鈴木美潮著

公開日: 更新日:

 日本のテレビの特撮ヒーロー番組は「月光仮面」に始まる。当時のテレビ映画はすべてアメリカの輸入作品で、支払いもドル。そこで、外貨流出を食い止めるために低予算の国産ドラマが作られることになった。正義の味方、月光仮面のキャッチフレーズは「憎むな、殺すな、赦しましょう」だった。後のウルトラマンは事情がある怪獣は宇宙へ帰してやった。仮面ライダーが怪人を殴るときには拳の痛みが伝わってきた。昭和のヒーローの作り手たちは第2次大戦を経験していたことから、〈非戦〉の願いを込めていたのだ。

 ヒーロー番組を現実世界との相関という視点から読み解いた、スルドイ一冊。(集英社 1389円+税)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋