• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「血の極点」ジェイムズ・トンプソン著、高里ひろ訳

 フィンランドの警察小説シリーズの第4弾だが、これほど異色のシリーズも珍しいだろう。というのは第1作「極夜」は北極圏の小さな町を舞台にした警察小説だったが、第2作「凍氷」で主人公のカリ・ヴァーラ警部が首都ヘルシンキに移ったかと思うと、第3作「白の迷路」では国家捜査局で特殊部隊を指揮するまでになる。

 この特殊部隊が何をしているかというと、犯罪組織を撲滅しているのだが、このあとが凄まじい。麻薬や金を奪ってしまうのである。文字通りの強奪だ。その上がりの一部を、国家警察長官と内務大臣に渡すけれど、あとは特殊部隊が自分たちのものにするから、驚く。超法規的な活動を彼らは許されているとの設定なのである。地味な捜査活動を描く第1巻から、ど派手な非合法活動を描く第3巻まで、これほど激しい変化をみせたシリーズも前代未聞といっていい。

 本書はその第3巻で激しく変化したカリ・ヴァーラ警部のその後を描いていくが、武器オタクでハッカーのミロと、童顔の巨人でアルコール依存症のスロという2人の部下を率いて、特殊部隊の活動はますますエスカレートしていく。今回は、国家警察長官と内務大臣をまとめて殺しちゃおうかとまで言いだすのだ。どこまで行くんだおまえたち。

 その反権力の姿勢は、ヘルシンキの大藪春彦といっていいが、著者急逝のため、この第4部が最終編となったのは残念である。(集英社 840円+税)


日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    太った? 元AKB小嶋陽菜のムッチリ体型にファン容赦なし

  2. 2

    ZOZO社長とW杯決勝観戦 剛力彩芽“はじけっぷり”に心配の声

  3. 3

    静香次女コウキ ファッション業界で囁かれる“本当の実力”

  4. 4

    元立教大生に聞いた 「奨学金破産」で人生転落するまで

  5. 5

    ロバート秋山はCM8社で第3位 起用理由をスポンサーに直撃

  6. 6

    小泉&小沢の“異色タッグ”は政界再編の起爆剤になるのか

  7. 7

    朝鮮半島のパワーゲームで日本は…共同通信・磐村氏に聞く

  8. 8

    可愛い“宝物”は24歳に…「孫」がヒットの大泉逸郎さんは今

  9. 9

    小倉智昭、ジャニ勢は…ワイドショー改編で首筋寒いMCたち

  10. 10

    映像は地味だが…「ポツンと一軒家」高視聴率で健闘のワケ

もっと見る