「希望の国の少数異見」森達也著

公開日: 更新日:

「自分たち日本人は個が弱いということをもっと徹底して自覚したほうがよい。ブームやベストセラーが世界一生まれやすい国との説があります。みんなが買うから自分も買う。みんなが読むから自分も読む。同調圧力がとても強い国です」

 とりわけ近現代史において、日本は個が弱いからこそ、いろいろ間違いを犯してきた。たとえば、真宗の門主が信徒たちに布告した文書があるが、悪い英米や中国を懲らしめて生まれ変わらせてあげようといった内容で、まさしくオウムの「ポアの思想」そのもの。そうした過去を自覚しているからこそ、今も安全保障法制や改憲に反対し続けている。

 そして著者は「負い目」を持つというのは大事なことである、という。

 オウム真理教のドキュメンタリー映画「A」などを発表してきている映像作家の著者が、ライターの今野哲男氏との対談を交えながら、「底が抜けたような世界」の状況と渡り合い、同調圧力に抗する方法論を探る論考。

(言視舎 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か