「別子太平記」井川香四郎著
日本橋の中橋上槙町にある銅商・泉屋に、代官の後藤覚右衛門がやってきた。四国の山奥にある銅鉱を探して銅の採掘をするようにと命じる。幕府は長崎でのオランダや中国との交易の支払いに金や銀を使っていたが、金銀が底をついたため、銅払いにすることにした。そのために銅山の開発が必要になったのだ。泉屋の支配人・田向重右衛門は、山師の長兵衛に会うために備中へ向かう。途中で野盗に遭った重右衛門を助けてくれた男が長兵衛だった。
そして不思議なことに、2人は代々伝えられてきた同じ蜻蛉紋のお守りを持っていた。愛媛県新居浜市にある世界屈指の別子銅山の開発に関わった人々を描く歴史小説。(徳間書店 1800円+税)