世の中のあらゆるものの寿命が分かる

公開日: 更新日:

「寿命図鑑」いろは出版編著

 もし余命あと○カ月と宣告されたら、残りの日々をどう生きるか。誰もが一度は考えたことがあるだろう。しかし、昆虫のカゲロウは、そんな猶予を与えられることもなく、成虫となってわずか1日でその短い一生を終えるという(種によってはわずか1時間!!)。

 普段は意識することがないが、自分も含め、世の中のありとあらゆるものに寿命がある。寿命に合わせ、それぞれの生き方、死に方も異なってくる。本書は、万物の代表324の寿命を解説する図鑑。

 飼い猫の約20年に対し、野良猫の寿命はわずか5年。一方、スズメは1・5年だがフラミンゴは50年など、身近な動物や鳥類、海の生き物に始まるさまざまな生き物やモノの寿命を、短いものから長いものへと順次紹介する。

 タケは、1本は10年ほどで枯れてしまうが、地下茎は120年生き、花が咲くと茎でつながっているものはすべて死んでしまうという。そんなウンチクも盛りだくさんで、読み始めると止まらなくなる。

 人体最大の器官である皮膚は1兆3000億個の細胞からなり、その寿命は4週間と、体の器官の寿命も解説。

 また平均寿命83歳の日本人もこれまで順調に寿命が延びてきたわけではない。平安時代に30歳まで延びた寿命は鎌倉、室町になると農作物の不作や争いで急減。15歳まで下がってしまったのだとか。

 その他、鉛筆(1本で書ける線の距離50キロ)や100円ライター(700回)、力士のまわし(1年)などのモノから、スカイツリー(100年)などの建物、そして地球(100億年)やブラックホール(10の65乗年)など天体まで。

 夏休みの子どもとの読書に最適(ちなみに、カゲロウは与えられた時間を子孫を残すことだけに集中し、3億年も前から世代をつないできたそうだ)。(いろは出版 2700円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性