「こわいもの知らずの病理学講義」仲野徹著

公開日: 更新日:

 本物の情報や知識こそ興味深くておもしろく、ためになる――。それが実感できる一冊。著者は大阪大学医学部病理学教授で普段、受験エリートだった医学生相手の講義の内容を近所のおっちゃん、おばちゃんに読ませるつもりで書いたというだけあってグイグイひきつけられる。

 医学部の基礎的教科書を下敷きにしているだけに細胞とは何かから始まり、がんの成り立ちや損傷、血液学やDNAについてもやさしく解説している。臨床医ならなかなか口にできない、がんは撲滅できない、老化は止められないなど、ともすればバラ色に見える医学の限界についてもさらりと書いている。

 欧米の一流大学教授の「白熱教室」が話題になったが、日本の医学部教授の授業もひけを取らないと思わせてくれる。健康・医療に関心のある人は一度は手にすべき本だ。

(晶文社 1850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは