「砂浜に坐り込んだ船」池澤夏樹著

公開日:

 朝刊に嵐で石狩湾の浜辺に座礁したベトナムの貨物船の写真が掲載されていた。5000トンもの船は、砂の上に坐り込んでいるように見える。現地まで足を運ぶと、座礁した船は美しかった。ふと、この光景を誰かと見るとしたら誰だろうとの思いがよぎる。

 夜、撮影した船の写真を家で見ていると、ふと隣に「きみ」がいることに気づいた。久しぶりに会うきみは、こちらが気づかない間も、時々、様子を見に来ていたらしい。今日も一緒に座礁船を見ていたという。とりとめのない昔話をしていると、つい話題は亡くなった彼の母親に及ぶ。

 6年前に亡くなった友人との思い出を描くこの表題作をはじめ、悲しみを乗り越える人々を包み込む9つの物語を収録。

(新潮社 490円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の夫は裁判沙汰に…女性芸能人が“成金”を選ぶリスク

  2. 2

    売り込みは好調も…河野景子“豪邸ローン2億円”の逼迫台所

  3. 3

    引退の稀勢の里を支える“太いタニマチ”と6000万円の退職金

  4. 4

    「ストライクが入らない」フランスアは高知で泣いていた

  5. 5

    安倍官邸“大号令”か 厚労省「実質賃金上昇率」水増し工作

  6. 6

    辺野古「県民投票」不参加表明 沖縄県“アベ友”5市長の評判

  7. 7

    首相の姓を? 永田町に飛び交う新年号に「安」採用プラン

  8. 8

    “第2のサンゴ虚報事件”で思い出す安倍首相の朝日新聞批判

  9. 9

    広島・誠也が打点王宣言も “新3番”長野に丸の代役務まるか

  10. 10

    長野以外にGベテランリスト漏れ 広島“ポロリ発言”の波紋

もっと見る