「文房具の解剖図鑑」ヨシムラ マリ、トヨオカ アキヒコ著

公開日: 更新日:

 パソコンで何でもこなせるとはいっても、やはり仕事には文房具が欠かせない。お気に入りの文房具が手元にあるだけで、仕事がはかどる(ような気がする)。

 日本製文房具の品質は、世界最高水準だそうだ。1970年以降は、「カワイイ」文化と融合した「カワイイ文具」や、さまざまなものを“デコる”ための「デコレーション文具」なども登場している。

 本書は、そんなお馴染みの文房具の生い立ちや仕組み、そして使いやすさの秘密などを解説したイラスト図鑑。

 数ある文房具の中でも、誰もが人生で初めて手にするのは筆記具だろう。その代表ともいえる「鉛筆」は、1560年代にイギリスで生まれた。リバプールの北にあるボローデール渓谷で羊飼いが発見した良質の黒鉛の結晶を紙で包んだり、紐で巻いたりして筆記具として用いたのがはじまり。鉱山が枯渇すると、黒鉛と粘土を混ぜた「芯」が発明され、木材の間に芯を挟んだ現在の形の鉛筆が生まれたという。

 黒鉛と粘土の比率によって変わるという芯の硬さや、家康がオランダ人から贈られたという日本最古の鉛筆、さらに短くなった鉛筆を持ちやすくする「鉛筆ホルダー」や、チビ鉛筆を連結させる便利グッズ、鉛筆削りなどの周辺文房具まで紹介。同様にシャープペンシルやボールペンなど「書く。描く。消す。」と題された筆記用具の項だけでもウンチクが満載。

 他にもノートや「ルーズリーフ・バインダー」、リポート用紙などの「残す。写す。」文具から、「切る。貼る。留める。」や、「保存する。分類する。」文具まで。23ジャンルのさまざまなアイテムを取り上げる。

 定番から最新人気商品まで網羅しており、久しぶりに文房具屋をのぞいてみたくなる。

(エクスナレッジ 1600円+税)

【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

  2. 2
    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

  3. 3
    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

  4. 4
    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

  5. 5
    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

  1. 6
    新婚ホヤホヤ真美子夫人を直撃、米国生活の根幹揺るがす「水原夫人」の離脱

    新婚ホヤホヤ真美子夫人を直撃、米国生活の根幹揺るがす「水原夫人」の離脱

  2. 7
    違法賭博に関与なら出場停止どころか「永久追放処分」まである

    違法賭博に関与なら出場停止どころか「永久追放処分」まである

  3. 8
    大谷翔平のパブリックイメージを壊した水原一平通訳の罪…小栗旬ら芸能人との交流にも冷たい視線

    大谷翔平のパブリックイメージを壊した水原一平通訳の罪…小栗旬ら芸能人との交流にも冷たい視線

  4. 9
    小室圭さんが窮地の大谷翔平の“救世主”に? 新通訳&弁護士就任にファンが期待

    小室圭さんが窮地の大谷翔平の“救世主”に? 新通訳&弁護士就任にファンが期待

  5. 10
    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終