「偽りの薬」河内敏康、八田浩輔著

公開日: 更新日:

 巨大製薬企業・ノバルティスファーマによる臨床試験データ改ざん事件を追ったルポルタージュ。

 同社は、2000年に発売した降圧剤「ディオバン」(一般名バルサルタン)が「降圧を超える効果」があることを証明するため、東京慈恵会医科大学など全国5大学の研究チームで臨床試験を実施した。

 一方で、同社はそれらの大学に総額11億円を超える奨学寄付金を贈与する。チームによって、同薬が脳卒中や狭心症を抑制する効果などが他の降圧剤よりも優れているという論文が発表される。その論文を販売促進に利用した同社は累計で1兆円以上も売り上げ、莫大な利益を得た。

 新聞記者の著者らが、一通の告発メールをきっかけに、巨大企業と大学病院の癒着を暴いていく過程を克明に描く。

(新潮社 550円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも