「草々不一」朝井まかて著

公開日: 更新日:

 直参の徒衆である前原忠左衛門は、武を磨くのには熱心だが、漢字の読み書きはほとんどできない「没字漢」だった。妻を亡くした男が男泣きに泣いたのを「柔弱極まりない」と言っていたのに、いざ自分が妻を亡くしてみると、物を言う気にもなれない。

 妻の遺品を整理していた息子の清秀が、「だんなさま」と表書きした文を持ってきた。裏に亡妻・直の名があり、「余人、開けるべからず」とある。清秀に読ませたが、「じつは清秀につきまして、衷心よりお詫びせねばならぬことがござります」とあって狼狽する。まさか、直にかぎって……。だが、自分では読めない。(表題作)

 浪人や旗本の婿など、武家の暮らしの泣き笑いを描く短編8本を収録。

(講談社 1650円+税)

草々不一

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  2. 2

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 3

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  4. 4

    長澤まさみの身長は本当に公称の「169センチ」か? 映画「海街diary」の写真で検証

  5. 5

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  1. 6

    樹木希林に不倫を暴露された久世光彦

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希またも“自己中発言”で捕手批判? 露呈した「人間性の問題」は制球難より深刻

  3. 8

    自転車の「ハンドサイン」が片手運転ではとSNSで物議…4月1日適用「青切符」では反則金5000円

  4. 9

    【独自】急死の中山美穂さん“育ての親”が今朝明かしたデビュー秘話…「両親に立派な家を建ててあげたい!」

  5. 10

    柳楽優弥「九条の大罪」23歳新人が大バズり! 配信ドラマに才能流出→地上波テレビの“終わりの始まり”