「草々不一」朝井まかて著

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 直参の徒衆である前原忠左衛門は、武を磨くのには熱心だが、漢字の読み書きはほとんどできない「没字漢」だった。妻を亡くした男が男泣きに泣いたのを「柔弱極まりない」と言っていたのに、いざ自分が妻を亡くしてみると、物を言う気にもなれない。

 妻の遺品を整理していた息子の清秀が、「だんなさま」と表書きした文を持ってきた。裏に亡妻・直の名があり、「余人、開けるべからず」とある。清秀に読ませたが、「じつは清秀につきまして、衷心よりお詫びせねばならぬことがござります」とあって狼狽する。まさか、直にかぎって……。だが、自分では読めない。(表題作)

 浪人や旗本の婿など、武家の暮らしの泣き笑いを描く短編8本を収録。

(講談社 1650円+税)

草々不一

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