「ひとんち」 澤村伊智著

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 15年前、アルバイト仲間だった歩美と恵ちゃんと香織。つい最近、新居を購入した香織の家で久しぶりに3人で会うことになった。麦茶に砂糖を入れるか入れないかを皮切りにそれぞれの家の習慣の違いを話していると、2階から音がする。香織に聞くと、病気をした犬が2匹いるという。ところが香織が言っている「犬」と他の2人の思っているものにズレがあるらしいことがわかってくる。そしていざ、2階へ上がってみると……。

 ごくありふれた会話に差し挟まれる小さなズレが恐怖に陥れる表題作。小学校のクラスメート全員に3日ずつ怖い夢が襲いかかるという「夢の行き先」。

 自分の手が荒れてかゆくなると、かならず地震が起こるというジンクスを持つ宮本。思いあまって宮本がとった行動とは?(「宮本くんの手」)

 表題作と対をなす「じぶんち」は、スキー合宿から家に帰った卓也が〈ごめんね 先に行きます〉という書き置きを見つけるところから始まる。混乱する卓也の前に現れたのは……。

 ホラー小説界の気鋭が紡ぐ、偶然にも入り込んでしまった日常の裏に潜む恐怖の世界。趣向を凝らした全8編を収録。

(光文社 1600円+税)

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