「ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?」ジル・ピュドロフスキ著 関修訳

公開日: 更新日:

 最近は日本のレストランもミシュランによる格付けがなされている。しかし、その格付けの基準となるとよくわからない。また料理番組の中で、リポーターが口に入れた途端に「おいし~~~い」と大声で叫んでいるのを見て「本当?」と疑問に思っている人も多いだろう。そんな人にうってつけなのが本書だ。

 著者は、パリのレストラン格付けガイド「ピュドロ・パリ」の発行者で、フランスを代表する美食批評家でもあり、その歯に衣着せぬ辛口の批評は多くの支持者を得ている。本書で取り上げられているのは単なる料理ではなく、あくまでも美食(ガストロノミー)だ。

 その美食の美食たるゆえんを歴史的にたどり、美食批評はどうあるべきか、またレストランの格付け=序列化にはどのような意味があるのかを、まだ有名になる前のカタルーニャの名店、エル・ブジを最初に紹介した記事などを交えながら論じていく。著者いわく、ミシュランが提供しているのは、われわれが料理の良し悪しを判断し、数量化するためのメートル原器にほかならない、と。さらなる味を極めようと思えば、やはり著者のような良き美食批評家の導きが必要なのだ。

(新泉社 2500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり