ロッテ・サブロー新監督が標榜する「昭和のキャンプ」…伝説の鬼コーチが壁を背にして酒を飲んだワケ
ロッテの新指揮官に就任したサブロー監督(49)は、「甘さを取り除いて厳しい練習をする」と宣言している。
今秋、来春のキャンプは「昭和のキャンプになる」と今季最下位に終わったチームを徹底した猛練習で再建するというのだが、「昭和のキャンプ」と言えば、今でもその代名詞として取り上げられるのが、1979年秋に長嶋巨人が行った「地獄の伊東キャンプ」である。
約1カ月間の伊東キャンプの陣頭指揮を執り、選手を地獄に追い込んだ当時の巨人投手コーチ、高橋善正氏はこう言っていた。
「79年シーズンの巨人は2年連続V逸となる5位。長嶋茂雄監督の『巨人の将来を背負って立つ若手を徹底的に鍛えたい。血ヘドを吐かせるまでやる』という一言で始まった。参加したのは投手が江川卓、西本聖、鹿取義隆ら6人、野手は中畑清、篠塚利夫(現・和典)ら12人。18人の平均年齢は23.7歳だった。投手陣は午前中に投げ込み。その後に数百という単位の腹筋・背筋などの強化トレーニングを行った。
午後の走り込みは、オートバイのモトクロス場として造られた1周800メートルのデコボコ道でやりました。ゴール前の上り坂は傾斜が約30度。長さは80メートルの急勾配。ここでタイム走を10周もやらせたし、アメリカンノックでもかなり走らせた。モトクロス場まではバスで移動しましたが、3日目くらいから車内で誰も口をきかなくなった。それは宿舎でも一緒でね。2日目までは、夜に誰かの部屋に集まって選手とジャン卓を囲んだ。3日目にきょうもやるか? と部屋を訪ねたら、真っ暗な部屋で倒れるように横になった選手がピクリともしない。それくらい追い込みましたね」