「カインは言わなかった」芦沢央著

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 ダンスカンパニー「HHカンパニー」の新作公演で、藤谷誠は主役のカインを務めることになった。弟のアベルを殺すという難しい役だ。だが、誠の踊りを見た芸術監督の誉田は「違う」とつぶやいた。誠は嶋貫あゆ子に「カインに出られなくなった」とメールを送って失踪する。誉田は誠の代役に尾上和馬を選ぶが、その尾上に、誉田は「おまえの踊りは、どこを切り取っても全部一緒だな」と冷たく言い放つ。あゆ子はなんとか誠と連絡を取ろうとスマホで検索していて、誠の弟の豪が画集を刊行したことに気づく。

 カリスマ監督に壮絶なしごきを受け、自分に才能があるのかと苦しむダンサーの兄と、画家の弟の葛藤を描くミステリー。

(文藝春秋 1650円+税)

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