公開日: 更新日:

「新型コロナ 感染爆発と隠された中国の罪」五味洋治、髙橋洋一、髙田礼人ほか著

 さしたる根拠もないまま“自粛解除”に向かいつつある昨今。本当に大丈夫なのか!?



「新型コロナは中国が造った秘密兵器だ!」

 米トランプ大統領の雄たけびをまともに信じる向きは少ないが、初期段階での中国当局の情報封じが、続く事態の悪化を招いたのも事実。では中国の感染爆発はなぜ起こったのか。

 本書は東京新聞論説委員や中国通のフリージャーナリストらによる感染拡大の「中国の罪」と、「感染爆発」による世界と日本への影響のリポート集。

 ウイルス感染を引き起こす原因のひとつが、野生動物まで食べ尽くす中国の食習慣と、需要に応えて野生動物を扱う商人に貧困層が多いという社会格差の存在。おまけに高齢化問題で糖尿病が急増しつつあり、コロナに感染した高齢者が死に至る背景にもなっている。

 ネットには武漢の細菌研究所がウイルス流出の源とする噂が絶えないが、本書もそれらを詳しく点検。疑惑が完全には否定し切れない実態を伝える。

 また「中国寄り」と批判されるWHOのテドロス事務局長についても、彼の母国エチオピアと中国の蜜月関係を指摘する。新聞報道の域を超える新情報とまではいかないが、ニュースのまとめとしては手頃だろう。

(宝島社 1100円+税)

「新型コロナウイルスの真実」岩田健太郎著

 日本で最初に新型コロナの怖さが伝わったのがクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。その船内に感染症専門家として入りながら、現場で正しい批判をしたために外され、顛末を説明したユーチューブの動画でさらに騒ぎになったのが本書の著者。

 では一体なにが起こったのか。それをわかりやすく説明したのが本書だ。

「感染症の専門家」といっても実数調査と予防、治癒はすべて専門が違い、「専門家」だからといって何でもできるわけではない。ところがクルーズ船対策ではシロウトの厚労省役人が筋違いの災害派遣チームや精神科のチームを動員し、感染を拡大させてしまう。著者の冷静な直言は現場を混乱させるとして感情的に排除されたのだ。

 今回の事態を受けて緊急で語り下ろし出版された本書。書店には著者の旧著も増刷されて並んでいる。

(KKベストセラーズ 900円+税)

「感染症」井上栄著

 2003年、突如として蔓延したSARSは新型コロナウイルス(当時)による重症急性呼吸器症候群。つまり「新型コロナ」は今回が初めてじゃないのだ。

 本書はSARSで一般の関心の高まった06年に初出版。新型インフルエンザの流行で再び感染症が注目された11年に再刊。そして今回の騒ぎで再々刊されたというわけだ。SARSのほかノロウイルスや特殊病原体プリオン、鳥インフルエンザなど06年当時でわかっていた感染症の話を中心に、マラリア、エイズ、エボラ出血熱など感染症をめぐる基本知識を身につけるのに最適な入門書だ。

(中央公論新社 820円+税)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状