「拾われた男」松尾諭著

公開日: 更新日:

 松尾は高校の行事で見た演劇で、スタンディングオベーションを浴びる役者を見て衝撃を受けた。

「あれやりたい」

 上京したら、劇団のオーディションの願書受け付けの締め切りはすぎていた。気落ちしていたとき、コーヒーの自販機の前に落ちていた封筒を拾う。航空券が入っていた。交番に届けた3日後、落とし主から電話がきた。その女性はプロダクションの社長だった。唯一受けたオーディションに落ちた著者は、女社長の「そのオーディションの結果が出たら教えてくださいね」という言葉を思い出した。女社長は警察に、拾い主がお礼を求めていると聞いて不安だったが、それでも声をかけたのは松尾がまれに見る昭和顔だったからではないか。

 個性派俳優のエッセー。

 (文藝春秋 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する