「超入門 カーボンニュートラル」夫馬賢治著

公開日: 更新日:

 国連が定めた持続可能な開発目標「SDGs」への取り組みは、企業活動の必須条件であることが国際的な潮流になっている。とりわけ温室効果ガスの排出抑制が重要視され、かつては環境活動家だけが口にする言葉だった「カーボンニュートラル」、つまり温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取り組みは、経済界でも大きな意味を持つようになった。

 本書では、これからのビジネスの武器になるカーボンニュートラルのいろはを解説。気候変動が与える経済へのリスクや産業界の動向などを分かりやすく教えてくれる入門書だ。

 日本では「2050年カーボンニュートラル」が国策となり、各産業は大きな変化を迫られている。例えば、日本は2018年時点で電力からの温室効果ガス排出量が石炭火力、天然ガス火力などを筆頭に4・5トンあったが、2050年までにこれらを別の電源に置き換える必要が出てきた。とくに注目されているのが海上に風車を設置する洋上風力発電で、コスト競争力の高い設置方式の研究開発が世界各国で進んでいる。

 食品・農業は自然を相手にしているため環境に優しい産業のようだが、実際には温室効果ガスの排出量が多く抜本的な改革が必要だ。農地に散布した化学肥料は放置すると温室効果ガスを発生させるため、今後は化学肥料なしで収穫量増を実現しなければならない。新たな農法の開発や、農業機械・農業設備のカーボンニュートラルも不可欠になる。

 カーボンニュートラルに対する基本的な知識なしには、先進的なビジネスを行うことはおろか、事業継続すら困難な時代に突入している。この変化を追い風にするためにも、いち早く知識を得ておきたい。

(講談社 946円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    「立花一派」の一網打尽が司法の意志…広がる捜査の手に内部情報漏した兵庫県議2人も戦々恐々

  3. 3

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  4. 4

    「ロイヤルファミリー」視聴率回復は《目黒蓮効果》説に異論も…ハリウッドデビューする“めめ”に足りないもの

  5. 5

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  1. 6

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  2. 7

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です

  3. 8

    元プロ野球投手の一場靖弘さん 裏金問題ドン底を経ての今

  4. 9

    米中が手を組み日本は「蚊帳の外」…切れ始めた「高市女性初首相」の賞味期限

  5. 10

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層