「暮らしのなかのSDGs」アノニマ・スタジオ編

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 持続可能な社会をつくるための、思想や文化を超えた世界共通の目標であるSDGs。そう聞くと、自分の日々の暮らしとは遠い話だと思ってしまうかもしれないが、個々の小さな行いが波紋のように広がり、やがては世界や地球に影響を与えるのだと説く。さまざまな立場の人々のSDGsへの取り組みを、17の目標と照らし合わせながら紹介し、考えや行動を変えるためのヒントを提示している。

 食べ物を買うという日常の行動も、ちょっとした工夫でSDGsにつながる。例えば、居住地の近いところで採れたものを優先して買う、フェアトレードの商品を選ぶ、賞味期限が迫っているものから買う。これらの行動は、SDGsの17の目標のうち、1「貧困をなくそう」、2「飢餓をゼロに」、13「気候変動に具体的な対策を」などの達成に貢献する。

 持続可能な社会をつくるためには、世界中が協力し合うことも不可欠だ。SDGsの17番目には「パートナーシップで目標を達成しよう」という項目がある。国や企業間だけの話ではなく、個人間での連携を強化することにも大きな意味がある。いらなくなったものはただゴミとして捨てるのではなく、人に譲ったり寄付したり、フリーマーケットに出店する方法を選択すれば、パートナーシップの構築にもつながるわけだ。

 他にも本書では、児童養護施設を巣立つ子供たちに一人暮らし用の家電家具を贈る「プラネットカナール」、農家のパートナーとなり大規模流通を前提とせずに販路を確保する「坂ノ途中」など、SDGsにつながる活動を事業としている企業を紹介。巻末には用語集付きで、SDGsへの第一歩を踏み出すためのガイドにもなるだろう。

(KTC中央出版 1650円)

【連載】ポストコロナの道標 SDGs本

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