「紅きゆめみし」田牧大和著

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 吉原の巴江屋の遊女、紅花太夫は大門裡(おおもんうち)の開運稲荷で、奇妙な手まり歌を歌いながらまりをついている幼女を見かけた。

 てんと散った火花、風に乗って屋根につく……という物騒な歌で、なぜか紅花が自分についていた禿にあつらえてやった朱華(はねず)の帯を締めている。そして、ちょっと目を離したすきに幼女は消えた。

 一方、市村座の女形を務める荻島清之助は立役に妬まれて舞台を降ろされていた。ある日、紅花付きの小雪から、八百屋お七になぞらえて「お七様」と呼ばれている幼女の噂を聞き、その正体を探ってみようと考える。

 悲しい運命と欲望が渦巻く吉原を舞台に繰り広げられる時代小説ミステリー。

(光文社 1925円)

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