「特殊清掃人」中山七里著

公開日: 更新日:

 勤めていた事務機器メーカーが突然倒産してしまった秋廣香澄(あきひろかすみ)は、必死の転職活動の末に6社目でようやく五百旗頭亘(いおきべわたる)が代表を務める「エンドクリーナー」に採用された。

 業種は清掃業だが、なぜか基本給も手当も驚くほど高い。話を聞いてみると、清掃業といっても「特殊清掃」という種類のもので、ゴミ屋敷や死体の発見された部屋のハウスクリーニング、供養や遺品整理、家具の買い取りやリフォーム、物件買い取りまで請け負うらしい。さっそく翌日から、香澄は五百旗頭に連れられ特殊清掃の現場に足を踏み入れる。そこには予想を超えた異様な光景が広がっていた……。

 2009年に「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞して以来、数々の推理小説シリーズで人気の著者による最新作。本書には、輸入車ディーラー勤務から引きこもりに転じて孤独死した30代女性、浴室で突然死した会社社長など、さまざまな死体の発見現場が登場する。

 特殊清掃人の仕事を通して、死者が生前に抱えていた状況が見えてくるヒューマンミステリーだ。 (朝日新聞出版 1760円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  2. 2

    11歳差、バイセクシュアルを公言…二階堂ふみがカズレーザーにベタ惚れした理由

  3. 3

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  4. 4

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  5. 5

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  1. 6

    開星(島根)野々村直通監督「グラウンドで倒れたら本望?そういうのはない。子供にも失礼ですから」

  2. 7

    最速158キロ健大高崎・石垣元気を独占直撃!「最も関心があるプロ球団はどこですか?」

  3. 8

    風間俊介の“きゅるるん瞳”、庄司浩平人気もうなぎ上り!《BL苦手》も虜にするテレ東深夜ドラマの“沼り力”

  4. 9

    前代未聞! 広陵途中辞退の根底に「甲子園至上主義」…それを助長するNHK、朝日、毎日の罪

  5. 10

    山下美夢有が「素人ゴルファー」の父親の教えでメジャータイトルを取れたワケ