「ワンダーランド急行」荻原浩著

公開日: 更新日:

 定例会議があるので、野崎修作はいつもより30分早く出かけた。

 上りの通勤快速が来るまで時間調整で停車中の下りの車内に座っていたら、電車が発車してしまった。しかも急行だ。流れ去っていく車窓の風景を見ているとき、「脱出」という言葉が頭に浮かび、終点まで行ってみようと思いつく。

 終点の改札の前に山があったので登ることに。トンネルを抜けて草原に出たら土と緑と太陽の匂いがした。自分が目指していたのはここだったのか。

 自宅のある駅まで帰ってきたら、違和感があった。駅前にモニュメント時計なんてあったっけ?家に着いたら、玄関の鍵が開かない!

 いつもと違う日常に入りこんでしまった男を描くミステリアスな物語。

(日本経済新聞出版 2090円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」