「とりどりみどり」西條奈加著

公開日: 更新日:

「とりどりみどり」西條奈加著

 1万両以上の資産を持ち、万両店(まんりょうだな)と呼ばれる廻船問屋、「飛鷹屋(ひだかや)」。その飛鷹屋の末っ子、11歳の鷺之介は、かしましい3人の姉に振り回されている。

 ある日、ひとりで母親の墓参りに行ったら、その前に旦那風の男が墓参りに来たという。供えられたまんじゅうの下に女物の紙入れがあり、中に金蒔絵の櫛が入っていた。亡母が3人の姉の嫁入り道具にと作らせた櫛にそっくりだ。同じ職人が作ったものらしい。その櫛には白鷺とナナカマドが描かれていた。

 鷺之介を捜しにきた女中頭のお滝は、墓参りにきた旦那風の男のことを聞くと顔をこわばらせた。(表題作)

 廻船問屋の末っ子をめぐる、心温まる時代小説7編。 (祥伝社 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動