著者のコラム一覧
金井真紀文筆家・イラストレーター

テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て2015年から文筆家・イラストレーター。著書に「世界はフムフムで満ちている」「パリのすてきなおじさん」「日本に住んでる世界のひと」など。

「カーニバルがやってきた!」白根全著

公開日: 更新日:

「カーニバルがやってきた!」白根全著

 もし何かの弾みで急にお金持ちになったらどうしよう、と妄想する。フッフッフ、明らかに宮田珠己さんの新刊、ロト7を買い続ける珍エッセーの影響だ。

 いまさら豪邸に住みたいとは思わない(狭い部屋の掃除すらできないし)。豪華客船にも興味がない(ドレスコードがあるらしい。めんどくせえ)。ワクワクするお金の使い道はないものか。と思っているとき、この本に出合った。わたし決めた! もし大金が手に入ったら、迷わずカーニバルを見に行く!

 本書は中南米カリブ海を中心に、ニューヨーク、ロンドン、浅草サンバカーニバルまで網羅した写真集。作者の白根全さんは「日本で唯一、世界でも2人しかいないカーニバル評論家。ラテン系写真家」とプロフィルにある。なんてブラボーな肩書だろう。

 カーニバルはもともとヨーロッパの春を迎えるお祭りだった。それがラテンアメリカに渡り、先住民インディオやアフリカから連れてこられた黒人奴隷の文化と混ざって大変化を遂げた。衣装もリズムも踊りのスタイルも国によって街によって全然違う。その差をおもしろがっていたら病みつきになってしまったんだろうなぁ、白根さん。

 わたしもお金持ちになったら、せめて数カ所は巡ってみたい。やっぱりブラジル・リオの絢爛なパレードは外せないだろう。スティールパンの大演奏団がにぎにぎしいトリニダード・トバゴのカーニバルも気になる。きっとその時期は航空券もホテル代も高騰するだろうが、金さえあればへっちゃらだ。さてと、あとはお金持ちになるのを待つばかり。

(福音館書店 1430円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元小結・臥牙丸さんは5年前に引退しすっかりスリムに…故国ジョージアにタイヤを輸出する事業を始めていた

  2. 2

    ドジャース大谷翔平に「不正賭博騒動」飛び火の懸念…イッペイ事件から1年、米球界に再び衝撃走る

  3. 3

    遠野なぎこさんは広末涼子より“取り扱い注意”な女優だった…事務所もお手上げだった

  4. 4

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  5. 5

    ASKAや高樹沙耶が参政党を大絶賛の一方で、坂本美雨やコムアイは懸念表明…ネットは大論争に

  1. 6

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 7

    世良公則、ラサール石井…知名度だけでは難しいタレント候補の現実

  3. 8

    自民旧安倍派「歩くヘイト」杉田水脈氏は参院選落選危機…なりふり構わぬ超ドブ板選挙を展開中

  4. 9

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  5. 10

    フジの「ドン」日枝久氏が復権へ着々の仰天情報! お台場に今も部屋を持ち、車も秘書もいて…