「カーニバルがやってきた!」白根全著
「カーニバルがやってきた!」白根全著
もし何かの弾みで急にお金持ちになったらどうしよう、と妄想する。フッフッフ、明らかに宮田珠己さんの新刊、ロト7を買い続ける珍エッセーの影響だ。
いまさら豪邸に住みたいとは思わない(狭い部屋の掃除すらできないし)。豪華客船にも興味がない(ドレスコードがあるらしい。めんどくせえ)。ワクワクするお金の使い道はないものか。と思っているとき、この本に出合った。わたし決めた! もし大金が手に入ったら、迷わずカーニバルを見に行く!
本書は中南米カリブ海を中心に、ニューヨーク、ロンドン、浅草サンバカーニバルまで網羅した写真集。作者の白根全さんは「日本で唯一、世界でも2人しかいないカーニバル評論家。ラテン系写真家」とプロフィルにある。なんてブラボーな肩書だろう。
カーニバルはもともとヨーロッパの春を迎えるお祭りだった。それがラテンアメリカに渡り、先住民インディオやアフリカから連れてこられた黒人奴隷の文化と混ざって大変化を遂げた。衣装もリズムも踊りのスタイルも国によって街によって全然違う。その差をおもしろがっていたら病みつきになってしまったんだろうなぁ、白根さん。
わたしもお金持ちになったら、せめて数カ所は巡ってみたい。やっぱりブラジル・リオの絢爛なパレードは外せないだろう。スティールパンの大演奏団がにぎにぎしいトリニダード・トバゴのカーニバルも気になる。きっとその時期は航空券もホテル代も高騰するだろうが、金さえあればへっちゃらだ。さてと、あとはお金持ちになるのを待つばかり。
(福音館書店 1430円)