「潤日」舛友雄大著

公開日: 更新日:

「潤日」舛友雄大著

 いま中国では「潤」という言葉が流行している。元来「儲ける」を意味する言葉だが、ピンインでRunと書くため、よりよい暮らしを求めて国外へと脱出する人々を指すようになった。目指す国は世界各地に広がるが、急増中なのが日本を目指す人々だ。

 著者は、以前、中国で知り合った友人が潤日後に亡くなったことを契機に、中国移民の取材を本格的に始めた。本書は、なぜ彼らは祖国を去るのか、なぜ日本を選ぶのか、中国移民のさまざまなタイプなどを深掘りしつつ、かつての就労目的の留学生とも話題のインバウンド客とも違う新タイプの中国移民の実態に迫る。

「潤日」が加速した理由に、中国の厳しいゼロコロナ対策があった。さらに言論統制、暗号資産の禁止、受験競争、円安やビザ取得の容易さ、距離の近さなども背中を押した。受験戦争に参戦する富裕層の子、不動産買いで資産保全を図る中年層、閉鎖的な言論空間から抜け出そうとする知識人など彼らは思いのほか多種多様だ。

 資金移動のための地下銀行や本格的な華語書店の相次ぐ開店など、日本人の知らない世界が広がっていることに驚かされる。

(東洋経済新報社 1980円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る