著者のコラム一覧
井上理津子ノンフィクションライター

1955年、奈良県生まれ。「さいごの色街 飛田」「葬送の仕事師たち」といった性や死がテーマのノンフィクションのほか、日刊ゲンダイ連載から「すごい古書店 変な図書館」も。近著に「絶滅危惧個人商店」「師弟百景」。

藤乃屋書店(大田区・御嶽山)木枠の大きな窓と佇まいがいい本に地元の人も注目

公開日: 更新日:

「うちの近くの駅前書店が、カフェ付きのすてきな本屋さんに生まれ変わったんです」と、友人から弾んだ報。飛んでいった。トコトコ走る東急池上線の沿線だ。

 ほほ~。ベージュとグレーの中間色の壁に、木枠の大きな窓。入ると右手に、「ギリシャ生まれの自然派コスメ」の数々。正面に、「読むしかできないブックショルダー」という革バッグがディスプレーされている。これらは?

「取次会社がお店を賑やかにする商品を紹介してくれる、期間限定のポップアップ企画です」と、店長の甲地康代さん(46)。

「意外にね、どちらもよく売れるんですよ」とのこと。リニューアル後ですよね?

「もちろんです」

 元の店は、両親が1979年に開店。「本を置けば売れる」の時代を経て、厳しい時勢が続いたはずだが、「妹と、妹のだんなさんも一緒に『とにかく続けていこう』」と、ビルの建て替えに伴い、コンセプト大変換の大英断。昨年11月、いわば2度目のオープンを果たしたのだ。

壁面3段に雑誌が堂々と並ぶさまが圧巻

 40坪の店内に、3万7000冊。約10メートルにわたって壁面3段に、表紙が丸ごと見える形で雑誌が堂々並ぶさまが圧巻だ。

 今、よく売れているのは?

「『ターザン』と『クロワッサン』ですね。この陳列だと、特集名が見えるから」

「ターザン」は「血圧血糖値 コレステロールの大正解」、「クロワッサン」は「人生を充たす本」の特集とある。健康と本が、この地域の人たちの関心ごとということか。確かに、手に取る人たちが次から次だ。

 雑誌以外は、パターン配本(取次会社による自動配本システム)に頼らずに注文。一般的に人気の文芸書、ビジネス本のほか、「世界のかわいい村と街」「世界の絶景温泉&癒しのサウナ」など、美しくて佇まいがいい本が多いもよう。

「『小学一年生』の売り場を確認に来たおばあさんが、翌日にお孫さんと買いに来られたり」って、町の厚みを感じるなー。コミック、児童書売り場も充実。取材時、甲地さんの娘の花帆さん(9)も店にいた。

 カフェでスペシャルティーコーヒーをいただく。酸味と甘味のバランスが抜群で、ものすごくおいしかった。

◆大田区北嶺町31-10/℡03-3729-6627/東急池上線御嶽山駅からすぐ/9時半~20時、無休

ウチの推し本

「世界のスゴイ彫刻」佐藤晃子著、伊野孝行絵(Gakken刊 2750円)

「雑誌の棚に『美術展ぴあ』を置いている流れで、アート本の棚を作りました。そこに必ず置いているのが、写真とイラストをふんだんに、約70点の彫刻を解説したこの本。例えば、有名な『考える人』。ロダンがいつ、どうして作ったか。なぜあの形なのかをご存じですか? そういう知識を得ると、大人も子どもも彫刻が面白くなりますよ。ルビが多いので、子どもにも読めます」

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