加来耕三(歴史家・作家)

公開日: 更新日:

1月×日 おせち料理において、子孫繁栄の願いを込めて食すのは「数の子」=ニシンの卵であるが、寿司や和食のトッピングとしてよく用いられる「とびっ子」は、トビウオの卵である。

 トビウオは「𩹉」と書くが、まさにその字のごとく、とびっ子を国内はもとより世界各国へと流行させたのが、神奈川県相模原市にある大栄フーズ株式会社──。

 同社を創業して、「とびっ子」や「中華くらげ」などのヒット商品を開発し、シーフード惣菜メーカーとして、世界規模のシェアを誇る企業にまで成長させたのが、現会長の岡康人(おか・やすと)氏である。

 広島県生まれで、航海士を目指して山口県の農林水産省水産大学校へ進学され、卒業後、都内の海運会社に就職。水産加工会社を経て、28歳で大栄フーズを創業された。

 私は昨年の初夏に、月刊誌の対談で岡氏とご一緒させていただいたことがあるが、あまりのバイタリティーと、その人柄に魅了され、一日にしてファンになってしまった。

 それからしばらく経った初秋頃、岡氏による経営哲学書「中華くらげ、とびっ子を世に出した男」(講談社 1650円)を偶然、店頭で目にした。

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