「下町ロケット」で水原本部長役 木下ほうか語る下積み時代
生活を楽にしたいならバイトをガンガンやればいいんです。でも、それだと本来の役者の道が狭くなる。しかも、食うに困らない範囲で、日舞やジャズダンス、殺陣、乗馬といった売り込みの武器になるような習い事もしなくちゃならない。費用はかさみます。
それと、上京するまでお酒は一切飲まなかったのですが、人脈づくりのために、なるべく酒席に出るように心がけましたから、その出費もバカにならなくて。
毎月末には必ずといっていいほどピーピーしてました。そんな時は井筒監督のところへ行くんです。監督もあうんの呼吸で目的がわかってるから、ランチや夕食時に出版社とかテレビ局の打ち合わせを組んでくれて、2人してごちそうにありついてました。
そんな電車賃にも困る生活が足かけ7年。何とか食うに困らなくなったのは33歳ぐらいです。でも、今でもそうですが、ロケ弁は食べ残さないし、余ってれば1個、2個と自宅に持って帰ります。だってもったいないじゃないですか。食費が浮くのに。
僕ら役者は今日、明日は何とか仕事があっても1週間、1カ月先はどうなってるかわからない。立場はフリーターと変わりません。常に危機感を持ってますし、だからこそ、その時その時の芝居に真剣に取り組む。それが今のモチベーションになっているんです。