アガサのひ孫が語った 新作「オリエント急行」のポアロ像

公開日: 更新日:

「ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ミシェル・ファイファーといったオールスターキャストもいいですが、監督を務め、同時にポアロを演じたケネス・ブラナーが素晴らしい。実は、アガサは絶対に表紙にポアロの肖像画を描かせなかったくらい、その人物像を読者の想像力にゆだねていました。74年版映画のアルバート・フィニー、英国のテレビ版のデヴィッド・スーシェら“最高のポアロ俳優”は人それぞれでしょうが、ケネスは一番原作の描写に忠実に演じてくれたと思います」

 アガサ・クリスティは76年に85歳で亡くなったが、プリチャード氏はそのとき6歳。その日のことはハッキリ覚えているという。

あの頃、ひいおばあちゃんとはよく泊まりに行ったり、家に来たりしていました。彼女にとって私の父は唯一の孫でしたから、私のことも本当によく可愛がってくれました。アガサが亡くなった日、覚えているのは僕が学校から帰ると父が真っ暗な部屋でひとり悲しんでいたこと。そして夕方6時のニュースを見たらトップニュースになっていて、ああ、アガサは単なる僕の優しいひいおばあちゃんではなくて、世界的に凄い人だったんだと気づいたんです。いま、私は原作の著作権を管理する会社を経営していますが、彼女が残した遺産というべき作品を、この映画も含めてどう世の中に伝えていくか試行錯誤しています」

 原作の発表から83年。クリスティの血を継ぐ氏による正統なる映画版を現代のミステリーファンはどう受け止めるか。
(取材・文=前田有一/映画批評家)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上智大は合格者の最大40%も…2021年から急増した「補欠合格」の現状

  2. 2

    慶応幼稚舎の願書備考欄に「親族が出身者」と書くメリットは? 縁故入学が横行していた過去の例

  3. 3

    「NHKの顔」だった元アナ川端義明さんは退職後、いくつもの不幸を乗り越えていた

  4. 4

    赤西仁と田口淳之介が始動…解散した「KAT-TUN」元メンバーたちのその後

  5. 5

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  1. 6

    人間の脳内のマイクロプラスチック量は「使い捨てスプーン」サイズ…8年前より1.5倍に増えていた

  2. 7

    「ニュース7」畠山衣美アナに既婚者"略奪不倫"報道…NHKはなぜ不倫スキャンダルが多いのか

  3. 8

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  4. 9

    トランプ大統領が大慌て…米国債の「金利急上昇」は何が大問題だったのか?

  5. 10

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”