著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

「星をかすめる風」韓国の国民的詩人をめぐるミステリー

公開日: 更新日:

 2つの顔を持つ杉山。そして尹。2人の間に横たわる底知れぬ闇とは……。

 まるで上質なミステリーを読んでいるかのようで、「犯人探し」の興趣に的を絞っても超一級の出来栄えだ。しかし本作の主眼は「たとえそれが恥ずかしい歴史であっても、なかったことにしてはいけない」という渡辺の戦争犯罪への真摯な向き合い方だ。

「戦争の狂気に沈黙し、罪のない者の悲鳴に耳をふさいだ罪が自分にもある」

 このセリフは今話題の映画「オフィシャル・シークレット」の中で国家のウソを告発した主人公と、彼女に対しうしろめたさを持つ同僚のやりとりと重なる。

 ミステリアスで残酷な物語であると同時に詩的な「美しい舞台」でもある。

 脚本・演出は劇団温泉ドラゴンのシライケイタ。青年劇場とは初のタッグだが、俳優たちがまるで水を得た魚のように生き生きと躍動した。コロナ禍で逼塞(ひっそく)していたことへの解放感もあるだろうが、“あったことをなかったことにして恥じない”安倍政権7年余の政治への怒りもあるに違いない。

 休憩挟んで2時間20分。紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで20日まで(配信もあり)。

 ★★★★★

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジとTBSは「朝8時戦争」“初打席”で空振り三振…テレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」独走いよいよ決定的

  2. 2

    NHKドラマ10「魯山人のかまど」は早くも名作の予感! 藤竜也は御年84歳、枯れてなお色香漂う名演技

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    フジ「月9」ドラマ初主演の北村匠海 映画では“共演者連続逮捕”のジンクスに見舞われたが…

  5. 5

    ローム、東芝・三菱電機が統合へ…パワー半導体をめぐる3社連合をデンソーが買収か

  1. 6

    元参院議員・野末陳平さん94歳 大病知らずだったが、2年前に2度の全身麻酔手術を経験

  2. 7

    中島裕翔に新木優子と熱愛報道 ファンから囁かれるHey! Say! JUMP脱退の背景と“問題児”の過去

  3. 8

    新木優子と結婚した中島裕翔は大正解! 吉田羊との“合鍵愛”報道から10年目…

  4. 9

    高市首相が自衛隊派遣めぐり安倍側近と壮絶バトル→「クビ切り宣言」の恐るべき暴走ぶり “粛清連発”も画策か

  5. 10

    「高齢者=賃貸NG」は思い込みだった? 家主が恐れる“4つの不安”を解消する方法