荒木経惟
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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<59>工事用のシートをくぐって入ってみたら、そこが墓場だった

公開日: 更新日:

 電通を辞めて、退職金でアサヒペンタックス6×7を買って、三脚かついで1年間歩いて撮ったのが「東京は、秋」(1984年刊行写真集、1972年~73年に撮影、連載12に掲載)。それからもずっと、東京の街を歩いて撮り続けてきた。最近は、タクシーの車窓から撮る“クルマド”だけどね(笑)。

 20年ぐらい前かなぁ、六本木ヒルズの建設が始まった頃、あの界隈のビルがパーってなくなって、視界が広がったんだよ。そのときに撮った写真を見ると、9.11の現場っていうんじゃないけど、そんな感じがするね。

 高速道路の上から見たら六本木のところに穴が開いてるんだ。穴が開いてるって、今まであったビルが全部なくなって、新しくビルの建設工事が始まってたわけよ。なんだ! と思って、ポンと車を降りて、その工事してる周りをこっそりグルグルまわって、張りめぐらしてある工事用のシートをめくって、パッと撮ったりしてね。新しくできるのか滅びていくのか、どっちかわかんないような光景が見えたんだよ。

 この写真の奥に見えるのが建設中の六本木ヒルズでね。ビルの上から撮るのはイヤだなと思って辺りをウロウロ歩きまわってさ、工事用のシートをくぐって入ってみたら、そこが墓場だったの。工事中の建物って、すでに廃墟感があるよね。

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