【対談】早見優×音楽プロデューサー松尾潔「40年越しの邂逅」「33年前の奇跡のニアミス」

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 EXILE、CHEMISTRYなど人気アーティストを手掛け、2022年12月には「帰郷」(天童よしみ)で第55回「日本作詩大賞」を受賞した音楽プロデューサー松尾潔。彼には長年逢いたかった人がいた。それがデビュー40周年を迎えたアイドル・早見優であることを打ち明けたのは、日刊ゲンダイのコラム「松尾潔のメロウな木曜日」だった。

「逢えそうで逢えない」「実在しないのでは」そうこぼす松尾に「超特大お年玉」として早見優との新春特別対談を逆プロデュース! アイドル論、プロデュース論、ブラックミュージック論、そして33年前の奇跡のニアミス……。40年越しの邂逅(かいこう)を大公開。

 ◇  ◇  ◇

松尾 1982年はポップミュージック的文脈で語ると「マイケル・ジャクソン『スリラー』の年」と記憶されますが、僕的には「早見優と出会った年」ということになります。

早見 いきなり光栄です(笑)。

松尾 子供の頃からわりとシブく生きてきた僕が「アイドル」に恋い焦がれたのは14歳のときの早見優だけ。CMを見て衝撃を受けました。

早見 えー。

松尾 本当ですよ。それで資生堂とペンタックスの福岡支社をノーアポで訪ねたんです。「早見優さんのポスターをください」。後にも先にもこんなことしたことないもの。

早見 もう、言葉がないです。

松尾 それでポスターをゲットして、部屋中に貼りました。天井に1枚、壁に1枚、ドアに1枚。朝起きて最初に顔を見るのも早見優なら、寝る前に顔を見るのも早見優……。正直、一緒に住んでいたような感覚で(笑)。

早見 アハハ!

松尾 映画「恋人たちの予感」でこういうセリフがあります。ビリー・クリスタルが喧嘩ばかりしているメグ・ライアンに「一日の最後、夜寝る前に話したい相手は君なんだ」。その気持ちが非常によくわかる。

早見 あの、私たち別に喧嘩していたわけじゃないですよね(笑)。

松尾 早見さんを好きになったのは、容姿はもちろんですが、たたずまいが「いわゆるアイドル」と違ったんですよね。

■「この人はいわゆる普通のアイドルじゃないな」と(松尾)

早見 例えばどういうところ?

松尾 「好きな食べ物は?」って聞かれて「叙々苑」とか言いそうな感じ(笑)。

早見 アハハ。「叙々苑なんて言っちゃだめ、クリームソーダでしょう」とか、「とりあえず後ろで笑ってなさい」とか、よく叱られました。当時はその理由がよくわからなくて。

松尾 そこが新鮮でした。「この人はいわゆる普通のアイドルじゃないな」ってのがあって。ハワイでスカウトされたときの話が、僕は本当に大好きなんです。

早見 今もよく突っ込まれるやつです。当時の事務所のスタッフが、「ウチには松田聖子がいます」って言うのに「わかんない」って言って、森田健作さんの名前出したら「知ってる!」って(笑)。

松尾 最高ですね。

早見 一応説明しますと、当時のハワイってタイムラグがあって、日本のテレビが少し遅れて入って来てたんです。だから、リアルタイムの情報が掴めてなかった。

松尾 事務所の方も「いい子、見つけた!」って思っただろうなあ。まったくシミュレーション出来ない答えだったと思うので。

早見 思い出しただけで、汗かいちゃうんですけど(笑)。

松尾 それで僕は、恋い焦がれまくった末に、勢い余ってサンミュージックに電話して「ファンクラブの募集とかしてないんですか?」って問い合わせまでしていますから。

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