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松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

佐野元春は「言葉と音楽の理想的な関係」を探求する先頭に立ち続けている

公開日: 更新日:

佐野さんご本人からお招きが…

 そんなぼくが、今週火曜(9月5日)、横浜で初めて佐野のライブを観た。この3月、福岡RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』で、偶然にも放送日と重なった佐野の67歳の誕生日を祝い、その功績を紐解いたのだが、その内容をファンが本人に伝えたらしい。

 番組で語った佐野の功績は以下の3つ。「いろんな人に影響を与えながらも、いろんな人と違う」「ロックをタイムレスでエイジレスな表現に拡大した」「言葉と音楽の理想的な関係を探求する先頭に立ち続けている」。ロックに精通していない自分は、言葉足らずであることも自覚しながら語ったのだが、そこに理を見出したという佐野さんご本人から、ライブのお招きを受けたのだった。

 最新アルバム『今、何処』の収録楽曲をメインに据えたライブは夢のような時空間だった。40年前に自分が放り投げた問いを答えあわせしている錯覚に、ぼくは何度も襲われた。終演後に会った佐野さんは「歌は言葉とメロディが剥がれがたく一体化したもの」という持論を、手短に、でも誤解の余地なく言いきった。清々しいほどに。

 ところで、ぼくの車は購入して一年半が経った。不具合と呼べるものはただの一つも出ていない。米国車のフォルムをパクるどころか、それをインスピレーションとしていることを誇らしげに謳うルックスはぼくの好みだし、乗り心地だって申し分ない。そして、そんな「不満のなさ」すら不満の種にしていた、あのころのぼくはもういない。 

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