著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

診断と治療は正しいのに がん早期発見が害になる“過剰診断”

公開日: 更新日:

 がん検診の害として、「がんでないものをがんと診断してしまう危険」や「治療の副作用」というものは分かりやすいと思います。しかし、がんの診断が正しく、がんに対する治療の害がないとしても、早期発見のためにかえって害を及ぼしてしまうことがあります。

 たとえば50歳でがん検診により早期がんを発見し、誤診もなく、治療の副作用もなく、治癒することができた人を例に考えてみましょう。

 この人ががん検診を受けなかったらどうなったでしょうか。70歳になるころには死んでしまったのでしょうか。

 もし、この見つかった早期がんが、進行してその人を死なせるまでに30年かかる進行の遅いがんだとしたらどうでしょう。70歳までがん再発の不安におびえることなく、より幸せな人生を送ることができたのではないでしょうか。しかし、80歳までは生きられず、それならがん検診を受けたほうがよかったと思うかもしれません。

 もうひとつ別の例を見てみましょう。同じ50歳でがん検診を受けて早期発見し、早期治療で治癒したにもかかわらず、60歳の時に心筋梗塞で死んでしまったという患者さんです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした