著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

命に関わることも…失神の原因で意外に多い病気とは

公開日: 更新日:

 一時的に意識がなくなり、すぐにまた気が付くという症状を「失神」と言います。救急車で病院に運ばれても、病院に着いた時にはもう意識が戻っているのが通常です。救急病院では、脳卒中などの兆候がないかどうかを調べ、疑いがあれば入院して様子を見ることがあります。けいれん発作の可能性や、不整脈や低血糖などの可能性も調べます。

 しかし、そうした検査で異常がなければ、「心配はない」と説明されるのが一般的です。自律神経のバランスが崩れ、一時的に血圧が下がることが失神の原因になっていることが多く、命に関わるような病気ではないからです。

 ところが、その常識を覆すような報告が、今年の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に掲載されました。入院になった失神の患者さんを精査したところ、6分の1という高い確率で「肺血栓塞栓症」という病気が見つかったのです。

 肺血栓塞栓症はエコノミークラス症候群と通称される病気で、足の血管などに発生した血の塊が肺の血管に詰まって、呼吸困難などを起こすものです。大きな血管に一時的に血の塊が詰まると、それが失神の原因になるのです。

 それを放置すると、今度は命に関わるような症状に進行することがあります。失神はこれまでの常識より怖い症状だと考えておいた方がいいようです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」