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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

扇千景さんは切除手術 非浸潤性乳管がんなら“待機”もあり

公開日: 更新日:

「(脇のあたり)触ったら、何かある」――テレビのトーク番組で乳管がんを告白した女優・扇千景さん(83)は、セルフチェックが発見のキッカケだったようです。その後の検査で乳腺にがんが見つかり、部分切除手術を受けてから、25日間の放射線治療を受けたと語っています。

 乳がんの大半は、乳腺で作られた乳汁(ミルク)を乳頭まで運ぶ乳管表面の上皮から発生。乳がん細胞が、一層の乳管上皮内にとどまっている場合を非浸潤性乳管がん(DCIS)、乳管を包む基底膜を破って外に出ているものを浸潤性乳管がんと呼びます。扇さんがどちらのタイプか分かりませんが、その見極めが重要です。

 マンモグラフィー検査(マンモ)の普及で、DCISと診断される女性は増加傾向にあります。DCISの腫瘍は乳管内に潜み、小さ過ぎて、症状はほとんどなく、触っても分からないことが大半。扇さんはやや大きくなっていたのかもしれませんが、そんな微小病変を見つけるのがマンモです。

 米国では、1970年代後半にマンモが通常の定期検診になるまで、DCISは1%以下。日本でもマンモが普及し、小さな石灰化の段階(微小石灰化)で発見されるようになり、今では新規乳がんの診断は、4分の1がDCISです。

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